小林千絵のＢＤ～13

第10話


意味：相反する感情を同時に持つ事　心の葛藤　どっちつかずの態度

時間：24分

注意点：テニスから3日後

　　　　　千絵の大学は20分で行ける範囲

　　　　　跡部が熱を出したのは3年ぶり

　　　　　都会の中心を離れた場所に住んでいる

泣き所：プライドって、捨てるためにあるんだよ

　　　　　千絵が氷帝学園の中学生として跡部に出会いたかったと思ったシーン

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矛盾だらけの第10話。

千絵の気持ちが痛いほど伝わってきて、毎回読むのが辛いよ。

第8話の時に気がついてしまった跡部との差。

それをずっと考えてしまっている自分がいて。

そんな自分が嫌で。

結局跡部なんて嫌いになれればいいのにって考えて逃げていて。

それでもやっぱり跡部は真っ直ぐで人間として出来ていて。

自分なんかよりも出来ていて。

嫌いになりたくてもなれなくて。

むしろ跡部のことが、テニスの跡部じゃなくて、普段の跡部も好きになっていて。

けど跡部はDVするし、所詮は紙の中の人間だって思って。

好きになるのが馬鹿だと理解して。

けど、それでも、やっぱり跡部のことを考えてしまっている自分が嫌で。

この繰り返しが嫌で。

嫌で。


お礼なんていらないよ。

本当にいらないんだよ。

跡部は千絵に色々な事をしてもらったから、そのお礼をしたいと思っているんでしょ。

その気持ちも分かるんだ。

特に借りなんて絶対に嫌だと感じている跡部だもんね。

2ヶ月分、最大のお礼をしたいよね。

けど、それはいらないよ。

千絵と同じ意見だけど、お礼が欲しいからお世話してたわけじゃない。

お金が欲しいからお世話してたわけじゃない。

むしろお世話なんて気にしてない。

跡部からはもらってばかりだ。

真っ直ぐで綺麗な跡部を間近で見れて。

ずっと一緒に過ごせて。

私なんかのために怒ってくれて。

笑ってくれて。

楽しそうにしてくれて。

それだけで良いんだよ。

私は跡部から形には残らないけど、沢山のモノをもらっている。

こっちこそ感謝してもしきれないぐらいだ。

だから、…お礼なんてしないで。

ほら、私って人間として弱いじゃない?

そんな私が強い人間の跡部と一緒にいれたんだよ?

凄いことなんだよ?

弱いから、跡部の事をお金でもいいから繫ぎ止めておきたいの。

もしここでお金を返されてしまったら、今までの思い出が全部消えてしまいそうで。

だからお礼なんていらない。

自分が馬鹿なのは分かっているよ。

けど何かで繋いでおかないとこの築きあげてきた消えてしまいそうで。

…怖いの。


千絵が言ったプライドに関する話。

この時、千絵は跡部に捨てるためにあるって言ったよね。

ねぇ、千絵は捨てれてる?

たしかにテニスの時に泣いたおかげで少しはプライドが減ったのかもしれない。

けど、千絵は溜め込んでまっさらな自分でいるのが1番良い生き方だというプライドを持ってない?

跡部のプライドは凄いよ。

見えないぐらい高いと思うよ。

けど、跡部は出来た人間なんだよ。

プライドなんて捨てることが出来る。

いつも最初はプライドを大事にするけど、最終的にプライドを捨てれると思う。

プライドを捨てるってとても難しいよね。

私には出来ない。

いつもね、プライドを捨てようって頑張るんだ。

頭では分かってるんだよ?

けど、どうしても心がついて来ない。

プライドを捨てたらもっと強い人間になれるのかもしれない。

そうは思っていても、なかなか難しいね。

5年経ってもまだプライドを捨てることが出来ないでいるよ。


千絵が氷帝学園の男子生徒として跡部に会いたかったと言った。

そうしたらずっと純粋に跡部を見れるから。

…私は考えてしまった。

2人がずっと一緒にいれる世界を。

跡部と千絵がずっと一緒にいて、ずっと笑い合える世界を。

そんなのは無いって分かっている。

けど想像するとあまりにも幸せで。

夢のような世界で。

つい、そんな夢物語に涙を流してしまった。


跡部は帰らなくちゃいけない。

跡部と一緒にいてはいけない。

けど

跡部を見ていたい。

跡部と生きたい。

相反する感情が同時にあって、凄く逃げ出したくなるんだ。